空の巣をまもっています

帰ってきたときに、いつでも、いつもの”おかえり”を言いたくて

「ありがとうは?」親しき中にも礼儀あり

夫の抗がん剤治療3回目には
本人の希望でおにぎりをもたせました


お昼休みに
「調子はどう?」とラインしました


「順調、今おにぎり食べたところ」
という返事が来ました


わたしはなんだかとても腹が立ってきました


どうしてもおにぎりって言うから
買って食べるのは嫌だって言うから
いつもより早起きして作ったんだけど


その返信はないよね?
わたしだったら(たとえ思ってもいなかったとしても)
「ありがとう!順調だよ
おにぎりありがとう、おいしかったよ」と返信します
それはわたしの主観なので
彼にそれを強いるのはいけないのでしょうけど


思えば
退院してから
栄養や添加物にとても気を使って
食事を作って出していますが
今まで一度も「ありがとう」どころか「おいしい」すら
言われたことはありません


それどころか
せっかく長時間かけて仕込みして作ったものでも
何も言わずにあっという間に平らげて
まあ、それっておいしいからなんだろうと理解していますが...
「ごちそうさま」もありません


でもさー
社交辞令だとしても
感謝の一言くらい
あってもいいのでは?


と思ってしまうのは
おこがましいことかな?
生きていてくれるだけでもありがたい..はずなんだけど


やっぱり
わたしは夫のことを愛していないんだな
いま彼に尽くしているのは
同情からきているのかな
...とちょっと思ってしまいました


こんな風に考えてしまうのは
多分
わたしがとても疲れているのだと思います
愛してるとかそんなこと抜きで
夫のことが第一の毎日ですから
自分のことは後回し
限界がきているのかもしれません


腹が立ったので
「ありがとうは?」
とだけ返しました


5分後に
「めっちゃうまかったよ、ありがとう」
と返事が来ました
言わせようと思えば
言ってもらえるのですね...!


これからは言ってほしい言葉は
こちらから言ってほしいと
伝えようと思いました


どうせ
自分から言ってはくれないでしょうから


でも
親しき仲にも礼儀あり
これが続くようなら
同情すら無くなってしまうかも。よ
と夫に言いたいものです

おにぎり持参でがん治療3回目

夫は退院して3日目くらいから
散歩に挑戦しました


いきなりジョギングしたいと言いだしたので
全力で止めました
そうは言っても走れなかったでしょうけど


近くのコンビニに行くのもやっと
マンション前の数段の階段も
少しふらつくと言っていましたから


病院では
リハビリの先生から筋力運動を指導されて
筋トレもしていたし
意識して院内をうろうろしていたようですが
それでも実生活に比べたらわずかなものです


まずは近くの公園まで
そして最寄りの駅まで
ゆっくりでいいから


それがクリアしたら
少し早めに歩いてみよう
という感じです


自分では早足のつもりだったのに
女性に追い越されてしまった、、、と
悔しがっていました


がん治療当日までには
駅まで歩くことができたので
最寄りの駅まで歩いて通院することにしました


点滴はまる1日なので
昼食は点滴しながら食べることになります
「何か好きなものを買って食べたら?牛丼とか」と提案したのですが
食べやすいおにぎりを持って行きたいとのこと


「じゃあコンビニで好きなものを買ったら?」
(たまには手作りではなくて外メシの方が気分転換になるのでは?
というか、作りたくない笑)
と言いましたが
渋っていたので
薄味の炊き込みご飯を作って
一つ一つ味を変えて(梅、昆布、野沢菜)3個作り
水筒と一緒にもたせました


わたしの出勤時間より朝早く出発し
わたしより遅く帰宅しました
帰り道も、駅から歩いて帰ってきたそうです


治療中のアナフィラキーショックもなく
気分が悪くなるようなこともなく
無事に治療は完了したようです


そして自分の足で往復できたことが
わたしにも夫にも
本当に嬉しいことでした
次は副作用がどのくらい出てくるか、です

日常のありがたさをしみじみ感じます

夫が突然の腹痛で病院に行き
即日入院し手術しがん宣告を受けてから
4ヶ月になります
やっと退院し
今は特に問題なく生活しています
来週は抗がん剤治療第3回を控えています


頭髪や眉、髭はほとんどない状態で
入院前に比べたらとても痩せているし
わたしよりも歩みは遅く
きっと駅まで歩くのも大変なくらい
体力も落ちました
薬も
一粒も飲んだことがなかったのに
今はたくさんの種類を飲んでいます


でも
家にいて
一緒にテレビを観て笑ったり泣いたり
感想を言い合ったり


職場の愚痴をちょっと聞いてもらったり


何より
一緒にご飯を食べて
「おいしいなら美味しいって言ってよー」とか
文句を言ったり


そんな当たり前の日常の暮らしが
できるようになったことが
泣きたいほどありがたいです


一時は
夫は死ぬのかな?
このまま寝たきり状態で衰弱していくのかな?と
そればかり心配で
今までの暮らしに戻れるなんて考えられなかったのです


今も重病人なのは変わりないけど
それでも日常の生活を取り戻しつつあります
次の治療が終わって
今のように過ごせるなら
家事を分担したり
散歩や外出にもトライしてもらおうと思っています


いつもの暮らしが
こんなに嬉しくてありがたいなんて
失った時に初めて実感するものなんですね